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季節にあったワインの選び方~旬の食材とおすすめワイン

季節にあったワインの選び方~旬の食材とおすすめワイン

ワインを選ぶ時にまず頭に浮かぶのは、ワインの種類でしょうか。「赤にしようか……白にしようか……はたまた、シャンパンかな?」などなど。けれども、その時に同時に頭をよぎるのは「どんな料理にしよう?おつまみはどうしよう?」と言うことではないでしょうか。
このようにワイン好きの方々は、ワインを選ぶのに実に多くのことを考えます。特に日本で生活するワインを飲もうとする美食家、美酒家は世界の中でも最も多くの条件の中でワインを選んでいます。意識しなくても行動している、日本のワイン好きの振る舞いを考えてワイン選びの参考にしましょう。

四季の豊かな国、日本

日本は地理的には温帯を中心に東西に長い、14,121島(国土交通省2023/2/28現在)からなる、四季のある国土を持っています。春夏秋冬が明確にある国は世界的には日本と同緯度の国、ヨーロッパではイタリアやスペイン、ポルトガルなどです。地中海沿岸はいわゆる「地中海性気候」で日本に比べると冬は暖かく一年を通して比較的穏やかな気候です。また、ワインの世界的名産地です。カリフォルニアのナパ・バレーも日本のワイナリーの一つである、山形県南部地方と同緯度のところにあります。
共通点は料理がとても美味しい国々であると言うことです。当然、お酒も美味しいお国です。

ワインの美味しい気候と四季の関係

ワイン選びに無意識に影響しているのは気候です。現代は空調設備の発達で、一年を通じ日本でも室内は地中海沿岸のように快適です。そのおかげもあって、一年を通じてワインを美味しくいただけます。
ただ、日本の冬は沖縄を除けば凍てつく冬も多いのも現実です。また、逆に夏は北海道を除けば高温多湿でヨーロッパとは随分と掛け離れています。このような気候の日本では、冬は「熱燗」、夏は「ビール」に趣向が変わるのも無理もないことでしょう。ワインも気候に左右されて飲みたくなる種類や味の傾向も変化します。日本でワインがほしくなるのは、フランスやイタリアの気候に似た春や秋になるのも頷けます。

ワインは一年中とても美味しいものです。とりわけ美味しく感じるのは、ワインに合ったお料理が食卓に登る季節でしょう。

春に合わせたいワインの組み合わせ

春先の菜の花や春キャベツ。バージン・オリーブオイルでパスタと和えれば、柔らかさのある白ワインに絶妙にマッチします。筍を鰹の生ぶしで山椒や鷹の爪で炒めればロゼには打ってつけです。

夏に合わせたいワインの組み合わせ

初鰹はまだ脂がのっていないので、軽めの赤ワインがベターです。日差しの強くなってきた初夏にはスパークリングワインとビワや杏を合わせるといっそう爽やかになります。真夏の太陽の下はビールとイカ焼きに任せて一休み。

秋に合わせたいワインの組み合わせ

食欲の秋には、分厚いステーキです。ボディのしっかりとした赤ワイン以外に選択肢はありません。旨味のある脂と肉汁を受けとめて肉の滋味をゆっくりと味わえます。
そして、秋と言えば「秋刀魚」です。アヒージョにして、季節のキノコと一緒に食せば、キリッとした白ワインがすぐに空になります。

冬に合わせたいワインの組み合わせ

お鍋の季節の到来です。すき焼きは万人の好むご馳走でしょう。ミドルボディで渋さ(タンニン)もそれほど強くない赤ワインの出番です。同居する味の染みた焼き豆腐との相性もバツグンです。
牡蠣も美味しくなります。“R”の付く月になれば、シャンパンの出番です。シャンパンで軽く蒸したものを香り高い白ワインやスパークリングでいただきましょう。

「旬」のある日本の良さ

日本の桜

風物詩

季節感が失われつつある昨今ですが、まだまだ日本には旬の食材もワインもあります。
ボジョレー・ヌーボーは初冬の風物詩です。新酒を求めて巷を徘徊するワイン好きが街に溢れます。ボジョレーだけでなく、甲州やアルプスからも摘みたてのワインが晩秋から出回ります。ボジョレーの「解禁日」より一歩先に味わえるのも良いですね。

甲州シュール・リー

甲州種の収穫時期は9月中旬から10月後半です。この時期の葡萄果汁をじっくりと発酵させアロマを引き出し、発酵終了後も澱(オリ)の上で熟成させたのが、シュール・リー(Sur Lie)と呼ばれるワインです。「澱引き」をしない製法です。フィルターを使わない無濾過のワイン版「にごり酒」もあります。
芳醇な香りとコクとキレのある、爽やかな酸味が魅力の辛口ワインに仕上がります。これを旬の食材とともに味わえば、自然の恵みに誰もが感謝し頭(こうべ)を垂れます。

「実るほど頭を垂れる葡萄かな」
初夏の鮎や初秋の落ち鮎を、塩焼きや甘露煮にしてシュール・リーでいただきたいものです。目の前には清らかな河の流れやこれから深まりいく山々の姿、たわわに実る葡萄の景色がグラスを通して見えることでしょう。

匠の技

日本の葡萄は日照時間の関係で糖度が余り高くなく、発酵させた時の度数が上がらないものもあります。逆にその特徴を掴んで逸品に仕上げるのが日本の匠の技とも言えます。
辛口の白ワインは、緯度の高いドイツなどにも多くみられます。代表的なものはフランクフルトに近い、フランケン地方の平たく丸い可愛い形をしたボトルに詰められた「トロッケン」ワインが有名です。澱や酵母、残ったタンパク質などの自然の力を生かしています。微発泡になる「どぶろく」に似ています。
旬と風土を絶妙に活かしてワインに仕立てる腕前は、フランスの職人に決して負けることはないでしょう。

おわりに

ソーセージにビール、酒盗に日本酒、麻婆豆腐に紹興酒。お酒には良きパートナーが必要です。ワインは多くのパートナーを魅了します。日本でいただくのならば、折角なので季節と旬の味わいに合わせたマリアージュにトライしたいものです。

「旬」に「竹」を載せて「筍」とはよく言ったものです。季節を決める大きな要素は、陽の光と温度に湿度、風景と景色、そしてワインと料理と言えるでしょう。ドイツでトロッケンとシュパーゲル(Spargel:白アスパラガス)を味わうと、ヨーロッパに春の訪れを感じます。

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