9月 3, 2024 vinochain編集部

魚介にぴったり地中海最大の島、「シチリアワイン」の魅力

地中海最大の島であるシチリア島は、ワイン生産量がイタリア国内でもトップクラスの一大産地です。レモンやオリーブオイルの名産地として有名ですが、実は複雑な土壌を活かしたブドウ栽培も盛んで、実に多様なワインが造られています。海に囲まれた島だから生魚を食べる文化も根付いていて、シーフード×ワインとのペアリングは最高なんです！

今回の記事では、そんなシチリアワインの魅力に迫っていきましょう。「魚介に合うワイン」を探している方は特に必見です！

シチリアの歴史と風土

地図でシチリア島の位置を見てみると、地中海のちょうど真ん中に位置していますよね。この立地を自国の物にしようと、かつては地中海を支配しようとする国々による占領合戦が後を絶ちませんでした。紀元前10世紀頃から、ギリシャ、ローマ、ビサンチン、アラブ、ノルマン、ドイツ、フランス、スペイン…様々な国に支配され、現在のシチリアの独特の文化を形成していったと言われています。

気候は典型的な「地中海性気候」。夏は暑く冬は温暖で、南西部はアフリカからの熱風の影響で特に暑くなります。土壌は地域ごとにかなり違いがあり、同じ島の中でも実に多様なワインができるのがシチリアワインの面白いところ。

また北東部に位置する活火山「エトナ火山」は有名で、エトナの火山灰の影響を受けた土壌から出来るワインもこの地域独特のミネラル溢れるワインをつくりあげています。

シチリアワインが有名になり始めたのは1990年台。

それまでは、大量生産の安価なワインの産地として知られていましたが、この頃「量より質」を追求した生産者が急増。シャルドネやカベルネ・ソーヴィニヨンなど国際的にメジャーな品種を使った高品質なワインが続々登場し、世界的に「シチリアワイン＝品質が高い」イメージを醸成しました。

近年では改めて地元の固有品種を重視する動きがみられ、シチリアならではのブドウを使った個性あるワインが多く造られるようになりました。

「魚に合う＝白ワイン」だけじゃない!? シチリアワインなら赤も魚と！

さて、ここまで歴史について見てきましたが、続いてはシチリアワインの魅力について”魚介との相性”をポイントにもう少し詳しく見ていきましょう。

○シチリアワインはなぜ魚介に合う？

魚と合わせるワインというと、白ワインを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

シチリアは漁業が盛んなので、豊富な魚介を楽しむ文化があります。様々なブドウが栽培されていて、白ブドウではレモンやグレープフルーツのような香りのグリッロ、同じく柑橘系のニュアンスが強いインゾリアなどの品種などが有名です。ほかにもカタラットは柑橘やハーブのアロマにかすかな塩気を感じ、魚介料理との相性は抜群。

火山性土壌の「エトナ」エリアで育つブドウは黒ブドウ・白ブドウともに有名ですが、白品種のカリカンテは繊細でエレガントなワインが多く、カルパッチョや天ぷら、貝料理など幅広い魚介料理と合わせられるでしょう。

では世界のワインを見渡したとき、単純に白ワインならなんでも魚に合うのか？と言われると、答えは「NO」です。

シチリアの白ワインがなぜ魚介に合うかと言うと、「フレッシュで酸がしっかりしているから」。魚にレモンを絞ると美味しく感じるように、爽やかで酸味が高いスタイルのワインは魚介との相性がよくなります。

逆に、樽で熟成したバニラのような芳醇なスタイルの白ワインであれば、豚やチキンなどの白身のお肉や、こってりとしたソースの料理と合わせるのは抜群ですが、新鮮な魚介と合わせるのはアンバランスです。

魚をよく食べるシチリアだからこそ、魚に合うスタイルのワインづくりが発展してきたのでしょうね。